2013年10月16日水曜日

水上勉

先日の新聞に「五番町夕霧楼」を取り上げた記事があった。
水上勉原作の映画の紹介記事である。

解説によると水上勉は9歳の時京都の寺に出るが辛い寺の生活に嫌気が
さして脱走。その後等持院に拾われるがそこでも兄弟子らに揉まれ
朝から晩まで作務に追われる日々。17歳の時体を開いて迎えてくれた
老娼妓、彼女こそが主人公の夕子のモデルとなった人なのだそうだ。

幼いころから温かい人の心に触れたことの無かった水上に、
肉親を感じさせてくれた。
「ウチワみたいな平べったい顔、大きな鏡餅」のような
大女ながら、律儀で、水上の言葉を借りれば
「襤褸(ぼろ)の中にも絹の縫いとりのある心田(心の田んぼ)」を持っていた。

その作品の中に百日紅(さるすべり)が登場するが、その花は水上が最初に
修行した「雁の寺」のモデルになった瑞春院に咲いていて、花を見るたびに
故郷を思い、泣いたという。
百日紅は寺院に似合うのだろうか、近くの天性寺にも紅色の花が揺れ咲く。

昔その「雁の寺」を読んだことがあるが水上の生い立ちを知ったうえで
読んだのであればもっと違った読み方をしたのではなかったのではと
思う。
その筋道も今では断片的にしか憶えていないがいつか読み直したとき
心にどんな形で沁みこむのだろう。

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