2012年5月31日木曜日

飼い猫ボタ子の生活と意見

私は猫。牝。五歳。花の盛り。と冒頭に自己紹介。裏見成平と」その奥さんの阿野文子の
小説家夫婦の家に飼われています。と続く。
この家で四匹の二番目に生まれ、ほかの子は他所へ貰われボタ子が残ったという設定です。
この家で繰り広げられる来客とのやり取りや日常会話、少し足を延ばして近所の情報を
面白おかしくまた少し皮肉を込めて猫的視点論点で言いたい放題、それでいて的を射ているから
久しぶりに読みながら笑ったわ。
阿野文子さんのことを「おばさん」と言う呼び方で物語は続きます。
おばさんの書斎に芒そっくりの大きな鉢植えがあり狭いその部屋の一番いいところに置かれていて来客は「芒を鉢植えで育てているんですか」と聞くそうな。おばさんは有頂天になって、
「これ、芒じゃありませんの。シトロネール、っていう草なのよ」って嫌らしいわね。その時だけトロっていう音をわざとフランス語風に鼻に抜かして、きざったらしいたら、ありゃしませんよ。
とこんな調子。
旧約聖書のモーセの出エジプト記の所だと思うのですが猫的観点では民衆を引き連れて歩く
モーセのことも「荒野旅行専門の旅行会社の社長」になっている。
なるほど言われてみれば言えなくもない。
で、シトロネールはレモングラスとも言われハーブ・ティーにすると色も香りもレモンなんだとか。
来客の中で四人だけがこのつまらない草を、一目で芒じゃない、って見抜いた人が四人いた。
その四人について語っています。私は四人目の田宮さんと言う男性の事が印象深かったです。
エチオピアがひどい飢饉に見舞われた年に一緒にエチオピア北部の難民キャンプに入った人です。
日本の対外民間援助活動計画が出来た時、現地でその目的とする計画がスムーズに動くようにアレンジをする人だそうです。
その田宮さんがはじめておばさんの書斎に通されたとき
「ア、ここのうちにはレモン、グラスがある」と言ったとか。
その二年後田宮さんは出張中のアフリカで自動車事故で亡くなっておばさんはひどいショックを受けるの。情熱に生涯を賭けるほんとに不思議な生き物なのね。
それを思う時だけ、私はちょっと人間に神秘的なものを感じるんですよ。と結んでいる

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