今回の読書感想文も宇江佐真理さんの作品です。
友達が貸してくれた「糸車」はその言葉の響きが好きでした。
江戸の深川の長屋で暮らすお絹が主人公。
彼女の夫は蝦夷松前藩の家老であったが参勤交代の江戸藩邸内で殺され、息子の勇馬は行方不明になった。
松前を出て江戸で息子の行方を探すため小間物屋の行商をするお絹はその商いをするうちに色々な人々と親交を深める。また色々な悩みや事件にも遭遇する。
同心の持田勝衛門との静かな恋心も芽生える。
探し始めて三年の月日が経ち勇馬は今年元服の十五歳になっているはずだがお絹の中では別れた時の十二歳の姿しか思い浮かばないでいた。
やがてお絹と勇馬の再会の時が来る。彼は陰間になっていた。
生きるためとはいえ紋弥と名を変え髪を島田に結い袂の長い着物で町娘のような格好の息子の姿にお絹は意表を突かれ涙が溢れ出るのであった。
勇馬は 持田の好意で持田家に身を寄せることに、養子の話も持ち上がっているところに松前藩は天領となり奥州梁川に移封(いほう)に。勇馬は持田家を出て帰藩したいと申し出る。お絹も勇馬と共に梁川へ行く決心をする。
持田との一夜は忘れられないものになった。
梁川の生活にも慣れて、お絹は約束通り持田と手紙のやりとりを続ける、返事は持田の長女福美がくれた。
やがて、持田が病で亡くなったことを知らされる。勇馬が江戸にいく時お絹も同行して持田の悔やみに。
母のせつは別れて十年のうちに頭は真っ白になっていた。持田家で数日せつの話し相手のため逗留、後ろ髪をひかれる思いで八丁堀を後にする。
梁川でのお絹は蚕から糸を引きだし指で縒って糸にする。その糸を糸車を回して束ねる。
回さなければ糸車は動かない、人生もじっとしていては動かない又その人生には山あり谷ありの塞翁が馬、お絹の生きざまを
糸車になぞらえて表題にしたのであろう。
本書の末國 義己によるあとがきも読みごたえがある。
ぜひ 一読を薦めたい。
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