2021年8月30日月曜日

小説8050 続き

家出した翔太の行方はまだわからない。とは言え気をもんでいるのは父親の正樹だけ。

母親の節子とは時々連絡をとり合ってしばらく生活するだけの金も持たせているらしい。

正樹は7年間も引きこもっていた我が子が突然社会と交わることが出来ないだろうと気が気でないのだ。

その事を弁護士の高井に相談するが、裕福な環境で引きこもっていた若者がいつまでもネットカフェや狭いビジネスホテルにいられないはず、弁当ばかりもその内に飽きるから、と慰める。

正樹の心配は尽きない、犯罪に巻き込まれるかも知れないし、最近は妻の節子とはあれ以来ほとんど口を聞いていないが、娘の由依が結婚したら正樹とは離婚すると言ってた事も気にかかる。何より裁判の事も・・・

翔太が出て行って8日目になる。正樹の怒りが節子に向かった。

「いつまでこんな態度を取っているんだ」「あなたが裁判を取り消すまでよ」 「何を今更!」「翔太はもう裁判なんかする気はないのよ!」「俺が勝手にやるのじゃない!翔太もやる気になっているんだ」と目をつりあがらせている節子を正樹は睨みつける。

少し心を落ち着かせて正樹は言う。

「甘やかすだけが愛情じゃない。いつまでもこのままでは俺たちは80歳正樹は50歳になって今よく言われている8050になってしまうんだぞ。それでもいいのか」

「仕方ないわ、親として付き合うしかない。なるようになるしかない」と節子は言う。

平行線はいつまでも続く。

0 件のコメント:

コメントを投稿