2020年3月12日木曜日

スカット

関留めをくらって婆様の死に目に会えなかったと嘆く巨漢の名前は「越坂晋輔」(えつさかしんすけ)、連れの二人は斉藤兵六、松田忠也と名乗った。
詳しく事情を聞くと武一の時と酷似している。
その関所のいけすかない伴頭の特徴は武一の時と全く同じで保山(ほうやま)殿に違いない。
しかし一時も待たせた挙げ句出直しを命じる明らかな嫌がらせを何故……
騎市が考え込み「もしや、二人はその保山という人物にどこかで会うたことがあるのでは?」
特に覚えはないと二人が言うがやがて、晋輔は子供を足蹴にしていた侍を止めに入った時の者がその保山であったらしく、武一の方は武一の父がその保山が説教と称しては配下の者にねちねちと苛んでいるのを見かねて廊下で見かけるたびに「今日もご精が出ますな」とか「昨日と同じセリフですな」とぼそりと呟いて通ったのを逆恨みして「たけとう」と聞いた途端に態度が変わったのだと判明した。

このまま泣き寝入りするつもりはなくきっちりと懲らしめてやるつもりで策を練る。

同じ憂き目に遭うた者がいる筈だが見つける術がない。
ふと思いついたのがこれから遭う者を探すという事。
武一は三度箱根の山に登った。
以前知り合った足軽の衛吉がかけよって来る。
騎市の心配りの高級なまんじゅうを手渡すと大層喜ぶ。
折り入っての頼み事とは保山によって武一と同じ憂き目に遭うた者を調べて欲しいという事
衛吉は快く引き受けるという。

つづく


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