中学時代いじめにあって登校拒否になりそのまま引きこもりを7年間も続けている翔太の為に父の正樹はいじめた生徒を探し出し、裁判を起こすことを決意する。
いじめた3人の名前と二人の消息はわかったが寺本航の行方が分からず、小学校時代から仲の良かった堀内君にその消息を聞き、「NOTE」と言うバーに彼を訪ねる。
注文した二杯目のグラスを空にして気持ちに余裕が出てきていよいよ本題に。
しばらく休んでいた筋道はここまででした。
「違っていたらごめん。君は……寺本航くんだね」と口を切る。
「」の台詞は本文のまま。文中の……が好感度の高いこの青年が翔太を引きこもりになる程のいじめをしたのだろうか、しかしここで引き返すことはできないと躊躇する正樹の心情が伝わって来る。文章の力ってすごいなと読みながら感心した。
青年は自分の名前を聞かされ、思わず目を大きくして「正解」と告げる。
「僕は大澤翔太の父親です」と明かす。覚えているかと聞かれこわばった顔でうなずく。
正樹は君たちにいじめられたせいで七年間も引きこもっている事、この七年間を取り戻すために裁判を起こすことにした、と伝える。
このことを聞いて相手はおびえるか、ふざけるなと怒鳴り散らすかと言う場面を想像していたが、寺本はそのどちらでもなかった。
静かな表情に諦念のような表情。正樹は肩透かしを食ったような気分になる。
「大澤さん、僕は逃げも隠れもしません。住まいはここの二階です。携帯番号もお教えしますが今日のところはお帰りいただけますか」その時カップル客が入って来て救いを得たというように寺本の顔がいっきに晴れやかな表情になった。
正樹は「お勘定」とだけ告げ店を後にする。
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