2015年8月25日火曜日

火花 その5

二人は自動販売機のお茶を飲む。「うまいか?」と聞く神谷に徳永は「はい、タイムマシーンが発明されたら真っ先に千利休に会いに行きます」。「どうせ横から秀吉がしゃしゃり出て来て飲みよるやろ」とこんな具合で二人は四六時中笑いを極めようと模索しているようだ。
世の中努力がそのまま報われるのはいつの、どの世界でも一握りの人だけだ。
遊んでいるのか芸道に磨きをかけているのかわからない日々の内に同じ事務所に若手の後輩が移籍してきた。彼らはすぐに台頭して徳永は打ちのめされた気分になる。

折しも真樹さんは神谷のために風俗で働き始めそこで知り合った男性に何度も告白されて徐々に真樹さんも好きになったという。
当然神谷は真樹さんのもとを出なければいけない。既に男が入ってきているから当座の自分の荷物を取りに行って欲しいと徳永に頼む。二人で荷物を運び出す。最後に真樹さんは「体に気をつけてね」と静かにドアを閉めた 。
どこまでも優しい真樹さんである。

その後何年かして一度だけ真樹さんが少年と手をつないで歩いているのを見かける。笑っているその姿に徳永はとても幸福な気持ちになるのだった。
 
                つづく

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