2017年8月5日土曜日

朱い旅 2

高見はギリシャ・エーゲ海の旅で知り合った「田辺」から一枚の写真を渡される。そこには結婚前の父も母も田辺も写っていた。ホテルの自室で改めて写真を見る。ふと目に止まった男性がいた。
「だれだろう?」翌朝田辺に聞くと不二草薫という人だと教えられる。田辺の記憶によると(彼は大変な秀才で経済学部の助教授をしていたが頭が良すぎて風変わりな人柄でお父様より経済学部の研究室に勤められていたお母様の方がよくご存じだったでしょう。ずいぶん前に亡くなられました。自殺でした)
高見は以前その名前を見たことがあった。自殺の原因は何だったのか知りたくなり田辺に当時の事を知っている人を探してもらう事に。

ギリシャの旅はサントリニ島の先端で見た水平線が朱に染まりながら沈む太陽の様子が一番心に残る良い旅あった。と振り返る。
サントリニに行くか、クレタ島に行くかは旅の途中でコースを選択することになっていた。高見はサントリニを田辺はクレタをそれぞれ選択した。すべては自身の決心から始まった事でこの決心によって数日前までは考えもしなかった絶景を見ることが出来た。――母はどうだったのか――と連想が首をもたげる。
やがて日本に着き「よい旅でした」「お世話になりました」と田辺と別れる。

ギリシャから帰ってすぐに母の故郷の山口県萩市の叔母から「おばあちゃんが亡くなったの。是非お葬式に来て下さい」と連絡があり萩市に向かう。
祖母にはずい分世話になったがすでに知った顔の人はいない萩での葬儀を済ます。
 母の遺品があるというのでそれらを東京の自宅に送ってもらう事に。

ホテルの付近を散策するうち〈不二草薬局〉という看板が目につき不二草薫と母は同郷だったのかと思う。

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