2021年6月27日日曜日

苦悩

 事のいきさつを野口から聞いた由依が目を真っ赤にはらして大澤の家に来た。

野口の母は「早くわかってよかった」と言ったが野口は結婚の意思は全く変わらないと言ってくれた。しかし、椅子を振り上げ迫ってきた時は本当に殺されるかと思ったとも。
そして、結婚までにもう少し時間をくれという。

由依は、「翔太を入院させて一生出られないようにしてよ。そうでなきゃ私は一生幸せにはなれないし、もし結婚できなければ、私がいつか自殺するかも」

ニュースで息子を手にかけた父親、結婚が決まっていた妹がその為破談になり自殺したことを思い出したが翔太を病院に閉じ込めろと言う由依の情け容赦のない言葉に時間と共に不快感がこみあげて来た。

正樹は旧友の精神科医に相談するが最近こういうケースが増えている。一度連れてこないとわからないと言う。

意を決して正樹は翔太の部屋の前に立つ、が反応のないドア越しに語りかける。病院に行くかそれとも大金を払えば力ずくでも隔離された施設に連れて行ってくれる業者に頼むか、返事がなければその業者に電話をかける。必死さが伝わったのかいきなりドアが開き背丈が伸びた翔太の姿が…

翔太の目も赤く腫れている。「オレは狂ってない。病気ではない。病院に行っても本当の事は云わない。だから行っても無駄だ」。

正樹は前に「オレはただ復讐をしたいんだ」と言った翔太の言葉に「お前、復讐をしろ」と言うと「えっ マジかよ」と驚く。翔太の赤く腫れた目はもがき苦しんでいる、今の今まで考えもしなかったが正樹の心を揺り動かしたのだ。

「とことんやれ!父さんが手伝ってやる」

翔太は「今更無理にきまっている」と言うが「そう決めつけるな、すぐにでも弁護士さんに聞いて、まだ復習が可能だったら父さんと一緒に!」




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