2021年6月7日月曜日

苦悩の始まり

 翔太はフリーターなどではなくもう7年間も引きこもっているのだった。

だが、世間に知られたくない なにより翔太を立ち直らせたい。
その為にさまざまなところを頼った。

翔太が14才つまり中学2年の夏休みが終わった時
「もう学校に行きたくない」と言いだし、始めは夏の疲れだと思っていたが、それが一週間、十日となり、正樹と妻の節子は本気で焦り始める。

学校へ出向き担任や校長と話し合うがこの学校にいじめはない、年に四回程のアンケート調査をするうえに相談室やカウンセラーも置き生徒はいつでもそこへ行けるようになっていると言う。が正樹たちは信用しない。 次は同じ小学校からの友人を訪ねるもクラスが違うのでよくわからないと答え、「僕よりも、仲の良い友人に聞いたらどうですか」と言われ、節子は言葉に詰まる。
翔太には家に連れてくる友人もいなかったし、日曜日に誰かと遊ぶ約束をしたこともなかったのだ。

両親は息子に「学校にはこのまま行かないつもりなのか」と問う。
翔太ははっきりと答える。
「もうあんなところに二度と行きたくない」
節子は「翔ちゃん、あんた、いじめられたの?ひどいことされたの?」「一体誰が?どんなことされたの?」節子はかな切り声をあげるが翔太は何も答えない。

「とにかく、もう二度と、あいつらのいるところへは行きたくない」
「あいつらって誰なの。はっきり言うのよ!」
「ママがもし―― 僕を無理やり行かそうとするなら僕はママを許さない。本当だよ」

体がわなわなとふるえる節子。

それでも中二のまだ幼さの残る息子はまた気が変わるだろうとタカをくくっていたことに、なんと無知だったのだろうと正樹は後悔している。

七年前にも“引きこもり”はとうに社会問題になっていたがうちは違うと考えていた。

大澤家の苦悩はこんなやりとりから深い闇へとつながっていくのであった

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